主幹コラム〈2018年〉

2018-12

卸売市場の社会的意義を〝保存〟する

▼世界が物騒過ぎる。トランプ自身がヤバいだけでなく、メキシコ国境が超ヤバい。北のロケットマンもナニやらやらかしそうだし、プーチンも習近平も腹のなかでなに考えているやら。なに考えているか分からないのは、韓国の文在寅。一体、どうしたいのかな?人はナニかを行うとき必ず目的があるはず。政治の世界では、政治評論家たちがそうした物騒な展開を分析して〝政治的意図〟を推測する。自分がしていることが分からない認知症でさえ、行動を起こそうとしたとき目的があったはず。ただ、すぐ忘れてしまうか否かの違いだけのこと。

▼政治の世界は〝確信犯〟が多いから、専門家であればほぼ推測がつく。しかし普通の人は、無意識に行動する、目的を見失うこともある。その仕組みを行動心理学的にいえば、目的意識というのは一種のエネルギーだという、「感情エネルギー保存の法則」である。テンションが保存されていればいいが、行動中に何か別の事象が発生すると、そこに〝気を取られて〟エネルギーが消費される。目的意識を保存していたエネルギーを使ってしまうから、目的を〝見失い〟忘れるのである。

▼その解決法は〝原点に戻って〟である。その目的を意識した場所、出発点に帰れば、もう一度目的意識を思い出しエネルギーが回復する。〝忘れた歌を思い出す〟のだ。思い当たる人は多いだろう。そこで、原点に戻って卸売市場の重要な役割を再確認しよう!と檄を飛ばしているのは、本誌執筆陣の重鎮、藤島廣二氏である。せっかく築き上げられた卸売市場制度を、規制改革推進会議と未来投資会議の物騒なシロウト集団たちが、卸売市場の社会的意義に関して無知なくせにナニを思ったのか、市場制度を換骨脱胎する乱暴狼藉…。

▼シロウト集団のエネルギーの源泉と目的はナニか。アンタッチャブルだった岩盤規制に、規制改革というメスを入れるフリをした?それにしては実態を知らなすぎる。ま、ぶっちゃけシンゾー君への忖度でしょ。

 

2018-11

マスコミの上手な活用も市場の使命

▼鳴り物入りで豊洲市場がオープンした。〝あの築地市場〟が移転する、世界ブランドTSUKIJIはどうなるのか?築地名物の外国人が大勢押し掛けるマグロのセリもどうなるの?そして、開場日。朝からマスコミが大騒ぎで駆けつけたものだから、交通マヒに拍車がかかる。自分たちをタナにあげて「交通事情などに〝大きな課題が残った〟」とはよく言ったものだ。笛や太鼓の鳴り物を超える騒々しさであったが、話題性の上っ面だけを取り上げたために、世界一の水産市場は世界一のツマ物野菜市場が付帯しなければ成立しないことまで報道していない。現実には、いまや妻は主役(?)たる夫をないがしろにしているが、こと和食の世界ではツマは一歩引いて主役を立てる。皮肉な話だが、水産を表に立てておいて、青果は邪魔なく余裕をもって移転・開場した。

▼マスコミといえば、野菜が高騰すると大騒ぎして耳目を集めてくれるが、かえって危機感、社会不安を煽ってしまうだけ。肝心の豊作、価格暴落時などたくさん購入、消費してほしい時には、野菜をブルトーザーで潰している画像を流して「もったいない!潰すなら施設とかに寄付したらいいのに」などと、その目的である生産者支援の、足を引っ張っていることに気が付かない。マスコミは昔のように、農業や流通の専門記者や解説者を育ててないのだ。

▼いま、卸売市場は生産者側、需要者側をつないで、情報発信、情報共有していかなくてはならない。地方市場のなかには、地域内の農業と消費者を仲介する形で、地元のマスメディアと連携しているケースが増えているが、大方はうまく使いこなせていない。ピント外れの報道に〝これだからシロウトは困る〟と憤慨しているだけ。なんとなく敵に回している。しかし彼らは無知なだけで悪意はない。

▼こちらから、入荷・販売状況とその原因、今後の見通しなどを、プロとして懇切丁寧に教えてあげればいい。やってみればすぐに分かるが、彼ら若い報道スタッフたちは、学歴もあり勉強熱心である。

 

2018-10

未来未然形ではなく現在進行形に

▼安倍晋三氏が3度目の総理総裁に選出された。つくづく思うが、日本も「大統領制」に移行するための改憲こそ必要だ。議会制民主主義における首相制は、発祥の地、紳士の国イギリスでは機能するが、政治家にこれほど志や品位品格を持たない日本では、国民の意志と議会運営が乖離して機能不全を起こしても、国民は何もできない。党員の意向より議員の知見のほうが優先する、勝ちゃーいいんだ、などと迷言を吐いて平然としている御仁がこの国のトップなんて…。国連演説で失笑されても〝笑いを取った〟と我田引水するトランプ氏の姿とオーバーラップする。

▼相変わらず口先だけの方がこの国を支配しているが、卸売市場を中心としたわが流通業界は、これからあくまでも自己責任で現場を仕切っていかなければならない。もはや「~決意です」「~の方針です」「~に向かって努めます」の未来未然形、願望ではなく、有言実行の世界だ。奇しくも、来年5月からは元号も変わり法律も変わり、社会情勢の変化に追いついていかなくてはならない。〝働き方改革〟だって、無理やり〝有言実行〟しようとするから、たくさんの歪みが出ている。裁量労働者が過労死している現実を、政府は「鋭意調査中」などと時間稼ぎだ。FTPの交渉入りを単なる時間稼ぎしただけで、〝外交の成果〟などと言っているのだから、暗澹たる思いだ。拉致問題も置去りのまま…。

1030日開催の弊誌主催セミナーには、普段と違って卸売会社の代表者が出席するケースが多い。単なる勉強会ではなく、経営研修的な位置づけでとらえられているようだ。政治が期待できない、行政も不案内。業界は右往左往するしかない現状なのだろう。本誌に連載を持つ市場流通研究者が、多くの自治体から講演依頼やアドバイスを求められている。未来形で未然形ではなく、現在進行形なのである。いずれにしても、自己責任で乗り切るしかない。

 

2018-09

ハンパない〝愛市場心〟を誇りに思う

▼愛国心を考えることが、いま、とても重要だと思う。私の場合でいえば、愛国心を持ちたいと思っている。それは、個の利益より国家の利益を優先する、国があってこそ自己が生きていると思うという右翼的な思想ではない。私は自分の国・日本に誇りを持ちたい、という意味においてである。国際的な舞台で日本人が好成績を取ったり、立派な行いで尊敬されていたり、はたまた、外国人が日本の伝統文化や食を好きになってくる、などはかなり誇らしい気持ちになれる。多くの日本人がそう思うのだろう。そんな内容のテレビ番組が多いし高視聴率をとっている。

▼だが現実に、いま日本を代表する顔、代表者は尊敬できない。恥ずかしく思う。ということになれば、誇りをもつどころか、つい卑屈になる。悲しいことだ。さぞ、アメリカ国民も大変、恥ずかしい思いをしていることだろう。国の首長を尊敬しないと、命が危ないロシア、中国、北朝鮮はさらに悲劇だが、それを考えないようにする習慣がついてしまえば、多少は楽になる。が、思想、信仰、信条の自由がないのだから、精神的には拷問状態である。

▼誰でも愛国心を持ちたい。自分の国を誇りたい。しかし、愛国心は強制的に持たせるものではなく、自然に感じるべき心情である。これまで、北朝鮮の脅威を誇張することで、国民を脅かして軍備拡張を黙認させてきた。これは強要された愛国心である。北朝鮮情勢が落ち着いたら、こんどは何をデッチあげて超高価なイージスアショアの設置をするつもりか。そんなカネがあるなら、あれだけ災害出動で大奮闘した自衛官の待遇改善に遣うべきだ。

▼これから国は関与しないが、卸売市場は公共的使命を自覚せよ、という基本方針案。これに呆れず、ポジティブに受け入れたい。私たちの〝愛市場心〟はハンパないのだ!

 

2018-08

市場は災害産地をできるだけの支援をした

▼この度の西日本豪雨災害は、その空前の激しさといい規模といい、厳しい現実でありながら〝見てはいけないものを見てしまった〟という感を禁じ得ない。被災された方々に深くお見舞い申し上げ、亡くなられた方々には哀悼の意を表したい。さらに、業界としてみれば、貴重な冬春産地が被害を受けた。果実類や施設野菜の周年供給産地も含まれる。市場から小売まで、流通・販売の面でできるだけの支援をしたいものである。過去の災害時にも同様に、出来得る限りの支援をした。風評などがあったとしても、流通業界は生産者と寄り添う努力をしていたことを、私はよく知っている。

▼青果物産地にかかわる災害時には、市場としての一番の支援は、当該産地の荷物を「相場で支える」ことである。通常であれば、選別や出荷がバラつけば、評価は低く安値になるものを、いわゆる相場より高い〝お見舞い相場〟を出すことは珍しくない。圃場や集荷場が被災しても、苦心して出荷してくれているのだろう、と感謝してお見舞いするのだ。その場合、卸が増仕切りしたり、買い受けた仲卸も仕入れた小売店でも、その事情や原価を知っていて、儲けを度外視して対応を図るものだ。

▼これも最初のうちは美談で済むが、そのうち産地と市場側の間で、ギクシャクした行き違いが生じる。当初は支援で高値をつけても限界がある。多くの場合、問題なのが産地の意識である。支援されていることを理解していても、B品でもA品並みに評価されると勘違いする。セリ人は悩ましいことである。これは、同情と愛情を混同するなど人間関係でも同様のことがある。良かれと思っても、逆効果のことがある。互いに忖度しあうことの大切さと難しさだろう。

▼同じように被災しても、その後に風評被害に悩まされる産地もある。福島県が切歯扼腕するところである。生産農家と消費者があたかも家族や親戚のように、互いに身内意識を持てるようになるしかないのかもしれない。災害は家族の絆意識を高揚させるのだが…。

 

2018-07

長年の経験と知識が「知恵・見識」を醸成

▼長幼の序、という儒教の教え。いまは年長者を尊敬しろ、といった意味にしか使わない。しかし、年長が理由もなく〝偉い〟のではない。長年にわたる経験と知識が、知恵や見識を醸成させることができるからだ。高度成長期には、生産性が低い老人は必要以上に邪魔者扱いされたが、経済や文化の成熟期に入った日本では、伝統文化や熟練した職人ワザなどが再評価され、一斉に退職していった団塊の世代を中心に、高齢者の社会復帰現象が起きている。単純な人手不足だけではない、若いパワーに〝老練〟な技術や判断力が一体化すると、成熟期における理想的な成長が具現化するのだ。

▼高い地位にあるものは、豊富な知識、高い見識をもって組織を統べなければならない。中身無しでエラソーにしている、どこかの国のお偉いさんとは大いに違う。逆にいえば、高齢者は〝年季が入っていて存在価値がある〟立場だと自認する必要がある。サッカーWカップでも一番平均年齢が高く〝おっさんジャパン〟などといわれていたが、ベテランの判断力と若手のスマートな働きとが、みごとに一体化し、理想的な成長が具現化していた。

▼この欄で、最近は政権や官僚への厳しい批判に終始していたが、今回はやめにした。それなりに理由や必要があっても、他人に対する〝悪口雑言〟は、言った人の口まで腐らせる。だれも他人を悪くは言いたくない。言えば自分も傷つく。〝あれほどのこと〟を平気でやっている安倍内閣への支持率は、不支持は増えても〝支持〟が3割を切らない。誰も、悪口を言い続けたくない。麻生氏の「新聞を読まないヤツが自民党支持だ」という迷言。悔しいが当たっている。

▼卸売市場制度は、古くて効率悪く改革の対象だと〝有識者〟たちが口を揃えている。が、卸売市場は長い歴史のなかで様々な経験を経て、いまや〝年季が入っていて存在価値がある〟と見直されつつある。卸売市場自身こそが、いま、その立場を再認識する必要があるのだ。

 

2018-06

日本の2トップは〝道徳〟をどう教える?

▼正直に話そう、としている顔。何かを隠し誤魔化そうとしている顔。これほどの違いがあるかと、いまさらながら思い知った。前者は見ているだけで真摯で丁寧なことが分かり、後者は何十回もそう言いながら真摯でも丁寧でもない…。それにしても、安倍クン、麻生クン、内田クンなど、それぞれ日本を代表するようなトップ、偉い立場にありながら、どうしてあれほど自分勝手で傲慢なのか。偉い人がエラソーにするという、まるで後進国のようだ。彼らが、日本人がいまや世界がリスペクトされる〝実るほど頭を垂れる稲穂かな〟という、大人(たいじん)の美徳を持っていない。上に立つ者としてだけでなく、人としての品位品格がない。そのうえに見識も知識もない。

▼モリカケを追求しても、その手は食わない云々(でんでん)と嘘をつき逃げ回る、セクハラ罪はないなどと未曾有(みぞゆう)の開き直り…。こちらのトップ2人は、共に高名だった政治家のお坊ちゃまで、エスカレータ式の大卒だから、お勉強もしていなかったことはよ~く分かるが、「徳」までは無理としても、人として最低限の「品」くらい教えてもらわなかったものか…。

▼一つの嘘がたくさんの嘘を生んでいく、という。それを国会、総理大臣という〝ピラミッドの頂点〟がやったら、つながる役人や官僚たちが〝忖度〟しなければならなくなり、さらにわれわれ下々の国民たちにも〝はしか〟のごとく伝播する。内田〝前〟監督だけでなく日大本体も日大アメフト部も、日本の2トップのように、事実が明らかになっても嘘を言いシラを切り他人のせいにしていた。事ここに至っても潔く認めず、何とか胡麻化そうとする…。強権で道徳を教科化した初めての政権のトップが、この体たらく。子供たちにどう教えるのでしょうか?

▼安倍クンの肝いりで設けた規制改革委員会は、恣意的な目的のためのアリバイ作り、傀儡だったようだ。市場業界もとんだ被害者だ。民主主義の形式を装った独断専行…この独裁の仕組みをトランプが気付けばツイッターに何を書かれるか、そんなにエラソーにしていていいの?

 

2018-05

桜は長い厳冬に自己防衛したが…

▼4月に入ってすぐ、父の命日に墓参した帰り、長野県でも有数な桜の名所に寄ってみた。城址には400本以上の桜が植栽されており、とりわけ天守閣跡の横にある馬場の風景が秀逸だ。多少は咲き始めもあるか、と寄ったら、なんと例年より3週間も早く全部の桜が満開。通常は4月下旬から連休明けまで、早咲きから晩生まで順次に咲いていくはずが、今年は全樹いっぺんに咲いた。その満開直後の散り初め時期に、偶然立ち会うという、人生稀有な体験をした。神仏のお導きか、はたまた亡き父の仕業か、謎は深まるばかり…。が、どちらでもない。3月始めまで続いた、生命を脅かさんばかりの厳冬が招いた、桜の自己防衛反応にすぎない。(と言ってはミもフタもないが、実際は〝神がかり〟だと思った)

▼卸売市場も、一昨年くらいから、「市場法は廃止しろ」という規制改革委員会からの、理不尽で厳し過ぎる問題提起を受けてきた。その厳しさは、春先まで続いた厳冬に匹敵する。しかし、結果的に卸売市場業界は、自己改革の好機を逸した。あれほどの糾弾に対し、自己防衛反応を発揮することなく、市場法は実質的な存続が決まった。たしかに、市場業界の代表者が猛烈に反対意見を述べたし、自民党の市場議連が自党政権の目玉政策に反対したが、それが決定打ではない。

▼それは〝神の手が動いた〟からだ。自己改革案を素早く取りまとめ、委員会に有無を言わさなかった「全農の意向」が通ったのだ。今回も〝あなた任せ〟終始し「法律廃止」も甘んじようとさえした市場業界は救われた。ただし、自助のための機を逸した。自分で決めずに事態が収まった場合、どうなるか。事態を収めた人のシナリオ通りに動くしかない。そのシナリオとは、農家の所得向上という目標のもと、市場を〝生かさず殺さず〟に活用することだ。

▼契約的取引の割合を高めても、それを直販ではなく市場帳合いとして決済を確実化し、どうしても発生する生産物の過不足に対応するために市場を使う。だから〝受託拒否禁止〟条件を残したのだ。これからは、生産者側が需要者と商売を決め、それを市場業者に振ってくるだけ。それが嫌なら、その商売を決める時から参加することだ。

 

2018-04

秘めてきたパワーは大爆発を招く

▼3月中旬、桜が突然来た。ちょっと前に梅が満開だったのに、こぶしと木蓮がいっぺんに咲いた。梅と桜が一緒に咲いた、故郷の長野県を思い出した。寒さが厳しければ厳しいほど、花は咲くエネルギーを内に秘めて貯め込んでいる。だから、温度が少しでも春めけば、スターターになって、爆発するかのようにいっぺんに開花するのだ。3月に入ると、5月並みの温度が一日あっただけで、生育期の年内から遅れに遅れていた野菜類が、花々が一気に開花を揃えたように、俄然、遅れを取り戻した。そのため、3月上旬には過去数年の中でも最も多くの入荷があり、天井で横ばいを続けてきた単価も、一気に平年並みに戻った。関東地区の植物たちは、初めて経験する辛くて長い冬を耐えに耐えてきたのだ。

▼明けない夜はない…などと知ったふうな物言いをしたことを、反省する。キャリア40数年程度で、偉そうな〝上から目線〟だった。こんな風に、素直に頭を下げるのは、自分の不明を恥じることなく、偉そうな上から目線の麻生クンが、浅ましい醜態を晒しているからだ。人の品位、品格の問題であり、晩節も汚したくはない。あの麻生クンが、晩節を汚してまで守っている防波堤が、いったん決壊したら、晋三クン夫婦は大変な大波に飲み込まれることを、知っているのだろうか。後世、確実に教科書に載る〝歴史的事件〟として、日本のみならず世界中の人々から顰蹙をかうだろう。日本人のひとりとして、慙愧に堪えない。

▼いま世界は、とりわけ環太平洋地域は独裁の時代らしい。トランプ、プーチン、習近平、金正恩、ドゥテルテ…、これだけ独裁国家に囲まれているので、小物の晋三クンは目立たないが同類だ。が、みんな〝裸の王様〟ばかりだから、自分の裸に気が付かないんだ、きっと。だけど、本当に独裁者が怖いのは、直接、命令しなくても、周りの人間が〝忖度〟して勝手に独裁体制が成立してしまうこと。だから誰も「命令されたわけではない」と証言する。独裁に耐えに耐えたエネルギーは、爆発するとスゴイぞ~!

 

2018-03

〝忖度〟は世界でリスペクトされるはず?

▼日本列島は今年、空前の大寒波と豪雪に襲来された。太古であれば、どこぞの神の怒りに触れたのであろうと、祈祷、お祓い、はたまた生贄を捧げなければならいほどの凶事である。大元を辿れば、地球温暖化に行き着く。トランプ氏がパリ協定からの脱退を宣言したその冬の出来事であり、この大異変に〝トランプ元凶説〟を唱えたくもなる。挑発行為がエスカレートしている北朝鮮も、トランプがGreat again!とばかり武力を誇示して睨み返した結果である。

▼西部開拓時代に原住民のインディアンを力でねじ伏せていた〝伝統〟だとはいえ、根底にはアジア人を含むモンゴリアンへの人種差別感情がありそうだ。その白人至上主義のスタンスが、世界で勃発するテロや米国内での頻発する乱射事件を誘発している、といってもいい。トランプは邪悪(evil)な存在である。さらに情けないのは、わが普三政権が〝虎の威を借る狐〟よろしく〝使い勝手のいい核兵器〟の開発まで支持して、トランプと一緒に邪悪に加担。正恩をさらに一発触発の瀬戸際に追い込んでいること。唯一の被爆国としての矜持に泥を塗られた思いだ。

▼トランプは愛国心の履き違いだが、ピョンチャン・オリンピックでは、我らも〝にわか愛国者〟と化して、涙しながら一喜一憂する。日本選手たちがごく自然に外国人選手と親しく接し、ライバルであり友人でもある関係を見ていると胸が熱くなる。日本には、相手の気持ちを思い計る惻隠の情という、独自の精神文化がある。世界中で日本人がリスペクトされる理由の一つだ。実は同じ意味なのが忖度である。官僚たちが虎の威を借りる狐になっているせいで、〝忖度〟にいいイメージがないが、相手の立場や気持ちを先取りして考え行動してあげる意味を持つ。

▼政治家に忖度する官僚たちが主導して、市場制度を改革しようというなら、「基本方針」を定め予算措置まですべきだが、偉そうに口先だけなら、業界には迷惑至極。地方、地域に任せてほしいものだ。

 

2018-02

どんなことにもバランスが必要

▼寒い。今年はやけに寒過ぎる。野菜も高値が続いて、冬の国民食である鍋物がなかなか成立しない。ハクサイ産地は、3年に1度当たればいい、などと言っていた時代もあったが、いまはキムチ用需要が大きなお客様だから、定時、定量、定価格、定品質で供給する習慣ができたようだ。市場が受託拒否できないのをいいことに、契約ものを優先した後の残りでもなんでも出荷する…、そんなふうに考えないと、これほど、ハクサイが高い理由がわからない。加工業務需要者への対応で経営が安定するなら、農業にとってはいいことだが、どんなこともバランスの問題だ。

▼コメの世界のこのごろは、何と安いはずの「飼料用米」の生産が増える一方で、どこの地域でも高値販売狙いのブランド米が競い合っている。そのため、需要の最も基幹部分である業務用米が大きく不足状態となり、外食業者が疲弊している。顧客離れを心配してギリギリまで我慢したり、メニューの価格を上げざるを得ない状態に追い込まれている。こんなに飼料米が増えるのは、飼料用穀物ここまで輸入に頼っている国はないため、遊休農地活用対策を兼ねて飼料用米の生産を奨励しているからだ。それにしても、つい最近まで米粉用米を奨励していたのはどうなったのだ。飼料用米増産は結構だが、現にある需要全体の6割以上を占めるといわれる業務用米を高騰させてどうするの?これも、いかにもバランスが悪い話だ。

▼輸入に大きく依存しているという意味では、加工業務用の野菜類は、生鮮と加工品含めCIFで計算しても4000億円規模である。青果物業界は米は専門外だとしても、野菜については、専門家としてこれだけの加工業務用需要を放っておくことはない。全農が懸命に、輸入原料の国産代替化で奮闘しているが、実際に地域内の需要者のニーズは地場の卸売市場業界が一番知っているはずだろう。

▼これから卸売市場は、それぞれが機能に応じて分化し、流通を役割分担するのが最終形となる。欧米の「市場」も、仲卸に相当する業者の集合体に進化していった。もっとも、その機能分化を誰が誘導するか…だが。

 

2018-01

戌年と午年総理との相性は如何に?

▼謹んで新年のご挨拶を申し上げます。戌年である。戌年の性格は「律儀で苦労を惜しまず忠実。ピュアで朴訥としていて、意志が強く一本気のため献身的な努力を尽くす」というものらしい。つまり「丁寧で真摯。愚直に努力する」ということになる。これは安倍晋三氏が昨年、まったく正反対の意味で使っていた言葉だ。答弁はぞんざいで、同じ内容を繰り返して不真面目。地道で慎重な審議ではなく数の力で押し通す…、もっとも的外れの答弁を愚直に繰り返したとはいるか?そのせいで、われわれモノ書きは大いに困った。丁寧、真摯、愚直という言葉が使えない。

▼ではそんな安倍クンに、相性が悪いはずの今年戌年はどうなるの?彼は午年(うま)。占いによると「正義感と忠誠心にあふれた戌年は、移り気な午年とも深く固い絆で結ばれるので、相性としては大吉」だとさ。相性がいい年ということは、本当の意味で〝丁寧で真摯。愚直に努力する〟人に変わるのか、それともいままで以上に独裁政治を極めるのか。う~む、チョー難しい。だが昨年末までには、当面、第3者販売などでいくつかの制度廃止があるものの、卸売市場法は〝存置〟することになった。だから戌年には口を挟んではこないだろう、とは思いたい。

▼いま流通の専門家、研究者たちが一斉に、一応、定まった制度の方向性に対して、その課題や問題点そして〝未来予想図〟を指摘、箴言、提言している。それは本誌今回号を参照いただければ納得だろう。これだけ熾烈に、今回の制度改正の実態をあぶり出した情報媒体はない。本誌筆者陣の面目躍如たるものがある。編集発行人として大いに誇りに思う。

▼兎に角、戌年に多い性格は正義感が強いということ。どんなに相手が強大であっても、間違っていると思えば立ち向かっていく。困っている人を放置できず、なんとか助けようとする。弱い者いじめなどには絶対に加担せず、いつも義に目覚め愛され信頼される存在である…。そういうひとにわたしもなりたい。

 

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